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【ドイツ男一人旅物語】12話 白いブラウスと鼻血(ドイツロマン派のストーリー)

ローテンブルク3

今日のBGMです。

 

 

【ドイツ男一人旅物語】12話 白いブラウスと鼻血

 

ローテンブルク
前回のストーリー【ドイツ男一人旅物語】11話 想像と妄想の境目で(ドイツロマン派のストーリー)

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市庁舎の塔の上は非常に狭い。

どうしても向き合うと顔が近くなる。

鼻血にまみれた茂の顔をエレンは見つめて、そして、言い放った。

「あなた鼻血出し過ぎじゃないのかしら?」

まさかの一言だった。

フランクフルトに着いてからしげるのことはずっと見てきたからわかる。

確かに鼻血を出すことが多い。

でも、白いワンピースのエレンは知らないはずだ。

なのに・・・なぜ?

「あなた鼻血出し過ぎの顔している!」

現時点において顔が鼻血で血だらけのしげるは鼻血出し過ぎの顔と言っても問題ないかも知れない。

しげるの心の右下あたりがくすぐったくなってきた。そ、そして、

「ハックショーーーンッ! チキショー、おりゃあ、てやんでぃ」(江戸っ子風のくしゃみ)

くしゃみが出た。そして、しげるの鼻血がぶちまけられた・・・・

エレンの白いワンピースもきれいなお顔も、すべてしげるの鼻血に汚されてしまった!

ふたりで血だらけになった。

「Gesundheit!」エレンは怒りもせずに優しいまなざしでしげるに言った。

エレンは血に染まった天使だった。

しげるの鼻血まみれの2人は、もう周りの目を気にしない。

二人寄り添って市庁舎の塔から、ローテンブルクの赤い屋根の街並みをみつめていた。

エレンは自分にかかったしげるの鼻血を拭こうともしなかった。

そんなエレンを見て、しげるの鼻血は止まることなく流れ続けた。

「ごめん、俺の鼻血がかかってしまって・・・」と詫びを入れたしげる。

「シゲが鼻血を出したのは私のせいかもしれないし、わざと鼻血を私にたっぷり浴びせたわけではないから」と冷静なエレン。

なんだかお似合いの二人のようだ。

エレンはシゲの鼻血がかかってしまった顔も拭かずに、二人で血だらけで塔から降りてユースホステルへもどった。

二人を見る目は決していいものではなかった。

エレンが「いい?」と言ったので、何がいいのか分からなかったが、シゲは勢いで「いいよ」と答えた。

エレンの白い手が、シゲの手を掴んだ。

血だらけの二人は手を繋いで歩いた

エレンの手のぬくもりと柔らかさに、シゲの鼻血流出速度は13%あがった。

ユースホステルへの道にシゲの鼻血が見事にポタポタ落ちていた。

シゲは鼻血を出し過ぎたのか、ユースホステルへ着くと一気に疲れが襲ってきて意識が朦朧としてきた。

「ドクターベックマン 旅行用洗濯洗剤 ジェルタイプ」をエレンに無意識に手渡すと自分の部屋で横になった。

後で分かったことであるが、今回のしげるの鼻血流血量は330㏄ほどだったそうだ。

エレンは、シャワーを浴びてシゲの血を流し、白いワンピースを手で洗った。

なかなかシゲの鼻血汚れは取れなかった。

さっきシゲから手渡された「ドクターベックマン 旅行用洗濯洗剤 ジェルタイプ」を使うことにした。

血の付いた箇所を見ず洗いした後にに「ドクターベックマン 旅行用洗濯洗剤 ジェルタイプ」を塗り込み

少し時間をおいて流してみた。すっかり血の跡はわからないくらいきれいに落ちた。

血が固まっていなかったのが良かったのか、「ドクターベックマン 旅行用洗濯洗剤 ジェルタイプ」が頑張ったのか。


エレンは洗濯を終えると、短パンにTシャツ姿で白いワンピースをハンガーにかけて干していた。

一方、しげるは夢の中でエレンと手を繋いでイチャイチャしていた。

どんな感じで夢の中でイチャイチャしていたかは、あなたの妄想にお任せします。

エレンとシゲのお戯れをじっくり自由に妄想しまくってください。

(妄想タイム)

(妄想タイム)

(妄想タイム)

(妄想タイム)

(妄想タイム)

(妄想タイム)

(妄想タイム)

はい、妄想タイムはお仕舞いです。

エレンはシゲの具合が心配になった。

今までのエレンの人生であんなに鼻血を流していた人は見たことがないからだ。

「日本人って鼻血を大量に流すのかなぁ」とさえ考えてしまうエレンである。

もうちょっと経ったら様子を見に行こうと思い、エレンは読書をすることにした。

エレンの大好きはミヒャエル・エンデの「モモ」である。

子供向けの本であるが、エレンが大好きな小説である。

時間と豊かさについて考えさせられる名作である。


 

しげるは夢の中のお戯れは品がなかったので割愛したいと思うが、よろしいでしょうか?

ダメー?

あなたが鼻血を出してしまうかもしれないので、辞めておきますね。

ただ、しげるが目覚めたときは、「ここからだ!」という時だった。

悔しかったしげるは、その続きを見ようとすぐに目を閉じたがうまく行かなかった。

結果を申し上げると、再度眠りにつけたことは事実であるが、

重要な夢の続きではなく、見れた夢は「ラッスンゴレライ」だった。

しかも、目覚める瞬間は「おしまいDeath!」と大和田専務に言われる、なんとも後味の悪い終わり方であった。

良かったことは、鼻血が止まっていたことである。

「エレンはどうしているかなぁ」

目覚めて発したことは、やはりエレンのことだった。

一緒にユースホステルまで戻ってきたことは覚えているが、そのあとどうなったかは覚えていない。

「エレンに謝らないと。白いワンピースを鼻血で汚してしまったのだから。いま、どこにいるかなぁ」

しげるも鼻血で汚れた服から着替えて、ユースホステル内をプラプラ歩きながら、エレンの姿を探した。

すると廊下の突き当りの読書スペースで一人本を読んでいるエレンを見つけた。

「やあ、エレン!」

「シゲ、もう大丈夫なの?」

「うん、大丈夫。それよりも鼻血まみれにしてしまい申し訳ない。」

「気にしていないわ。好きで鼻血を出したわけじゃないし。」

「エレン、許してくれてありがとう。」

「シゲ、あなたは誠実な人だわ。」

「そうかなぁ?そんなこと、あまり言われたことはないけど、そういわれると素直に嬉しいです。」

こうして、しげるとエレンはさらに絆が深まったようだ。

ジェダイの騎士のヨーダ。

二人はハグをした。

やっぱりエレンはいい香りがした。

「ちょっとお茶でも飲みにいきませんか?」

エレンが昭和のナンパのような発言をぶち込んできた。

しげるは調子に乗って、

「一緒に夜明けのコーヒーを飲みたい」と臭いことを言ってしまった。

「え、どういうことですか?」エレンは真顔で聞いてきた。

真顔もまたかわいい。

「あ、ごめん、ちょっと鼻血出し過ぎで変なこと言っちゃった。何言ってるんだろうね、俺」

しげるは、エレンの生足で鼻血を出し、その鼻血を出したことを言い訳に利用するという卑怯な手をつかったのである。

これに対して、日本鼻血協会会長の高田純一は、遺憾の意を表明した。

遺憾の意を受けて、しげるは反省をした。

まるで猿のように。

「ねぇ、シゲ? 大丈夫? やっぱり疲れてる?」

「ごめん、ごめん。えっと、お茶だよね。行きましょう!」

「じゃあ、20分後にあそこのベンチで待ち合わせね。」

「はい、楽しみにしています。」

二人はお互いに自分の部屋にもどって支度をはじめた。

しげるは顔を洗って、歯を磨き、髪形を整えた。

そして、新しいパンツに履き替えた。

エレンはノースリーブの白いブラウスにベージュのシフォンのスカートにすることにした。

本当にいい感じです。

しげるは支度ができると早めにベンチにむかった。

エレンは髪をとかし、明るめの紅をさした。

もう一度言う、明るめの紅をさした。

本当に輝いている。

ベンチで腰を掛け、エレンが来るのを待っている新しいパンツのしげる。

ユースホステルの玄関を今か今かと待ち侘びる男、しげる。

エレンの姿が見えた。

ノースリーブの白いブラウスに柔らかい印象のシフォンのスカートの輝いている姿を見たしげる。

「お待たせしましたー」エレンが笑顔で言った瞬間だった。

しげるの鼻から温かい液体が垂れ始めていた。

(つづく)

 

 

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